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モールテックスの魅力

2022-5-22

-ルテックス(MORTEX)という素材をご存じだろうか?
ベルギーのBEAL社から販売される近年話題の左官材料である。
モルタル仕上げの無骨さが見直され、現在求められるニーズにがっちりハマっているのだろう。
かくいう私も『モールテックス』の魅力に強く取りつかれている。
一番の魅力はその施工性にあった。
1mm~3mmという薄塗りでモルタルの質感が表現できるこの素材。下地は木下地なら問題ない(下処理をすれば”鉄”でも塗れるようだ)
極端に言うと我々大工が形を造ることができれば、”塗れない”ということはない。

通常モルタルの”コテ押さえ仕上げ”の場合ひび割れ防止のため相応の厚みを要する。
そのため、モルタルの自重を考えると採用できる場所が限られていた。
『モルタル風にしたい』というご要望に対して「モルタルを薄く塗って仕上げることができれば…」と思い描いては、施工性の悪さから今まであきらめてきた”モルタルの薄塗り”
そんな不可能を可能にする、私にとっては夢のような材料がこの『モールテックス』である。







現在進行中のリノベ案件には、この「モールテックス」がふんだんに使用される予定だ。

・造作キッチン
・造作ソファ
・造作ベンチ
・造作テーブル

上記パースに描かれているだけでもこれだけ使用される。
当初の計画ではキッチンだけでもモールテックスで…ぐらいで考えていたのだが、気が付くと何故かココも、あそこも塗ってしまいたくなっていた。
既存の柱や梁を生かすべく、無垢の床板や一部の石張り壁、メインの壁・天井は漆喰塗りと自然素材のセレクトに努めたこの物件
そんな自然素材の建材に「モールテックス」というデザインコンクリートは好相性。ほど良く調和してくれるのだ。
”異素材と組み合わせる相乗効果により上質な空間の演出ができる”そんな魅力がこの『モールテックス』にはあるのかもしれない。

カラーバリエーションも豊富で私が見たサンプルは64色あった。
一体どこまで自由な表現ができるだろうと思いながらじっくり検討…
ブルー系やレッド系、ブラウン系など…全部見てしまうと色々使いたくなってしまうが、ここは「モルタル」であるような色合いをセレクト。
今回の物件には、あくまで空間に調和するものが最適である。

更に聞けば、既存木材やタイルの上からも塗ることができ、今までの内装材を解体することなく質感を替えることができるため”リノベーション”にも非常に有効なこと。
また、防水性があるため洗面台やシャワールームにも使用でき、曲げ強度があるため曲面にも使用できるという。
自由な意匠が実現できる左官材料「モールテックス」控えめに言って最高だ。
一体どこまで万能なのか…
ここまで万能だと逆に悪いところがないのか探したくなるものである。
そこで、実際施工する左官職人さんに今考えられる「モールテックス」のマイナス面を問うと…

・施工できる左官職人さんが少ない
・施工手間がかかる(コストがかかる)
・メンテナンスが必要

こんな点が上げられた。


なるほど…


確かにコストはかかる。
しかしながら、モルタルのテクスチャは自然素材と一緒で経年変化により味わいが増していく
「オンリーワンの風合い」これは既製品では出せないものであり、コストパフォーマンスの観点で解釈すれば納得できる。
更に、基本プラン設計時には「モルタルがいい」という要望が多くなってきた昨今
自然素材をふんだんに利用した空間にはこの「モールテックス」を今後多用してしまうことは間違いないだろう。
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