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半ネジと全ネジの違い

2022-6-12

スと言えばどんなビスを想像されるだろうか?
ネジ山があるため釘との違いは一見すれば明白である。
横からのせん断力に対する強度は”釘”には劣るも、引っ張り方向にはネジ部が材料に絡み”釘”よりも有効だ。
インパクトドライバーで手軽に留められるビス
同じビスでも様々な種類が建築現場で使用されている昨今。
今回はビス中でも性質の異なる[半ネジ]と[全ネジ]について書き留めておきたいと思う。
上記画像は[全ネジ]のビス。 (WAKAI コーススレッド)
画像でわかる通り、ビスの全長がネジ山となっている。

上記は接合部のイメージだが、全ネジの場合 板厚分に効いてしまうとネジの回転が止まってしまい多少の隙間ができてしまう可能性がある。
この場合、もう一度抜き再度押し付けて締めなおしたり、クランプで固定 あるいは人に押さえてもらい締め付けるなどすれば隙間なく施工することが可能だ。
多少手間がかかるため、あまり接合部の精度を要求されない部分に使用されることが多い
また後述する[半ネジ]では抜けてしまう恐れもある ネジ頭部の破損(切断など)があってもしっかりと材同士を緊結してくれるメリットはある。







こちらは[半ネジ]のビス。 (WAKAI コーススレッド)
前述した[全ネジ]とは異なり約半分でねじ切りが終わっている。


[半ネジ]の接合部は主材に効きすぎず回転が止まらないので引き寄せ力が発生し隙間のない施工が容易だ。
しかしネジ頭部が飛んでしまうと材同士の緊結する役割を失ってしまうため、紫外線や雨風にさらされる屋外などで使用する場合は劣化によりその機能を果たせなくなる場合もあるため注意が必要。
また空回りしてしまう可能性もある。
あくまで容易に隙間なく施工できるようにと考えられて開発されたものなのであるため、致し方ないことかもしれない。


?と思われた方もいるだろう。
なぜそんなことが言い切れるのか?
半ネジがそんな意図で開発されたのだろうか?
実は確信があるからこんなことも言い切れるわけである。

聞いた話だが[半ネジ]は(株)斉藤商会の創業者 齋藤 任司氏(当社三代目の弟)の考案もあったようなので少しご紹介したい。
発想の根源は、当時和室に造作で施工される長押を柱に取り付ける際[長押ポンチ]を使用し施工している大工の姿をみて思いついたとされている。
今でこそ石こうボードもビスで留めるが当時は釘留めだった時代
大工には需要がなかったインパクトドライバーの需要供給にも目をつけていたのかもしれない。
まずインパクトドライバーのビットを長いものを使用すればビスで長押をつけれると思いついたそうだ。
その際 和室造作に隙間なく施工したいという思いから自材に効かせすぎない[半ネジ]を思いつき、当時の金物メーカーとやり取りしたという
その記録は自署の『ふり返れば商愛』に詳細に記載されていた。
少し脱線してしまったが、長押が楽に施工できるようにと開発されたと聞いている[半ネジ]のお話し…
今の技術は先代の知恵により築き上げられたのだと思わされる。
簡便に施工でき道具も豊富な現代だが 先代に敬意を払いしっかりとビスの特性を理解し適材適所に使用する事。
当たり前のことではあるが今後の技術職にはそんなことも求められるだろう
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