待ってくれる人
2025-9-8
建築請負工事契約締結まで話がトントンと進む場合は皆無に等しい。
大概何かしらのしがらみにかかり、数か月又は年単位で話が保留になることがほとんどである。
クライアント側の事由や法規制などによる場合もあるが、こちら側の事由によることもある。
理由はこのブログの筆者である私がすべての物件を管理しているからだ。
単純にみきれるキャパシティは有限で、一棟始まるとある程度の目途がつくまでなかなか並行して他物件を進行することはできない。
そのため他の方から依頼はあれど、お待ちいただく状況が続くこともある。
待っていただくのは心苦しいが、現在進行中である物件の品質を下げることはできない。
人をもっと雇用すれば?と言われることもあるが、それもまた目指すべき場所が異なってしまう。
器じゃないと言われればそれまでなのだが、どうやら私には今のミニマムなスタイルがあっているようなのだ。
こだわりを持ち一つ一つと向き合うべく試行錯誤した結果だが、社会的影響もあり自然にそぎ落とされたといった方が正しいだろうか。
ミニマムになったことで今後は少しペースを落とせると思った矢先、改修工事依頼があった。
ちょうど某大学の建築学部から非常勤講師依頼があり、それも受託していた私は正直少し仕事量をセーブしたいと思っていた。(今から1年半前の春先の話だ。)
恐れ多くも私は、「4月から初年度の講義が控えているので慣れるまで待っていただけないか」と率直に話したことを覚えている。
よくも図々しく言えたものだと思うが、実はクライアントは私を幼少時からよく知る人。
その話をしたら、逆にとても喜んでくださり「大学で教えることができるんなら仕事をぶん投げてでもやるべきだ!こっちは待ってるから大丈夫!」と言ってくださったのだ。なんともありがたい話である。
あれから1年半、だいぶお待たせしてしまったが、何とか見積合わせを行い工事請負契約締結までたどり着いた。
熊本地震の影響を目の当たりにした施主は堅牢な構造補強を望んだ。
続いて断熱性の向上。
一番はお風呂が寒いので何とかしたい。ということだった。
現況をすべて総合的に調査し、提案をしてほしい。
一級建築士である私にすべて任せるとまで言ってくれた。
すべてを網羅し段階的にお風呂の改修から進めることになった今回の案件は、在来浴室の解体から。
一年半お待たせしてしまったが、先を見据えた計画性のあるリノベでその信頼に応えるべく、実直に現場と向き合う次第だ。