木材がグレーに変色する件
2025-10-13
木は腐る。
これは著しく水分が滞る場所が存在した場合の話である。
雨漏れ又は漏水などが原因で木材が許容できる水分を超えて与え続けられると、柔らかくなりいずれ崩れ落ちる。
このリスクヘッジとし、建材メーカーではデッキ材に木の粉とプラスチックを主原料とした[リウッド材(再生木)]を開発し、現在普及している。
雨風にさらされるデッキ材でも、中長期的に腐食の心配を軽減できるため採用事例も増えてきた。
当社も何度か採用しその安心感をクライアントと共有してきたが、中長期的に腐らないという性能を手にする代償に何かを失っているような気がしていた。
─それは人工美を手にする代わりに自然美を失うということを意味しているのかもしれない。
リウッド(再生木)デッキを採用すると工場で生産された均一な木目が美しく(人工美)、設置後 数か月は水垢などが気になってしまう。
製品自体が美しすぎるが故に初期はメンテナンスに気を使うも、結局は屋外。1年・3年と経てばこんなものかと自然に身を任せることになっていく。
中長期的に腐ることはないが、屋外に設置するためずっと新品のままとはいかず、自然との馴染み方に違和感を覚えるのだ。
一方無垢の木で作ったデッキ材はどうか?
一本一本の木目が異なり、加工も職人の手作業となれば均一とはいかない。
紫外線にさらされ、経年劣化によりグレーに変色していく無垢材をみて不安になる…
この感じ方が人の感性で分岐するようだ。
[グレーに変色した木材]こそ時間をかけて経年変化した自然美と捉えることができるか否かがポイントとなる。

こちらは某建築家の作品で外装材に無垢板が採用された例。
グレーに変色しているが、時間をかけて変化している様子を家主は美しいと捉えている。
このような解釈ができれば、1年・3年と経過しても素材が自然と一体となる経過を楽しんでいけるのだ。
前述したように、雨がたまったり常時濡れる場所でなければ、腐食していく心配はない。
グレーに変色する現象は紫外線と雨により木材の色素が変化するからだ。
しかしどうしても心配な方は、ある程度含水率が多くてもそれを許容できる環境で育った木材を使用すれば安心感が増すだろう。
もともと雨が多く降る地域で育った木材は水分を多く含むことができ、腐食しにくい。
あまり口外したくはないのだが、こちらは非常に雨が多い地域で育った杉材。
これなら一般的に出回っている木材と比較し、より腐食の心配が少ない。
油分が多いためか通常の杉より重く、プレカット材としてとっているわけではないので、一本一本曲がっている。

曲がっていようが、木の特性を活かす手刻み加工ならなんの問題もない。
当社の作業場で加工して施工するだけである。
今回はこの雨の多い地域で育った杉材を使用し、デッキバルコニーを制作させていただいた。
既製品を取り付けた後とは違う何かを感じ、高揚感が残る…
このあと数年かけてどんな味わいが増していくのだろう?そんな気持ちからくるのだろうか。
建築家はなぜこのようなものを薦めるのか?と理解しがたい気持ちになる方も一定数いらっしゃるだろうが、天然木は土に還る素材。
遠い未来を見据えれば、工業製品を使用するよりエコで地球にやさしい。
自然との共生を考えればそれは必然的なことなのだ。
特に今回は雨に強い杉材を採用しているため、安心して表面がグレーになっていく自然美を楽しんで頂きたい。