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住宅は芸術作品

2022-7-18

面式キッチンで便利な家事動線の間取りにしたいという要望は多い。
子育て世代に特に多く子供の様子を見ながら料理ができ、買い物の後の収納が合理的であるためだ。

合理的に便利に生活できることは重要であるが、時にその家事動線を優先するあまりもっと大事な要素を切り捨てなければならない場合もある。

例えば、もっと収納スペースが欲しかった。
もっと美しい外観ファサードにしたかった。
もっとコストを抑えたかった。etc…

単純に動線を確保するだけではおさまりがつかないのが家事動線だ。
  • 通路面積が増える
  • 外観に凹凸ができる(場合がある)
  • 収納スペースが減る。etc…

家事動線は確かに便利だが、上記のような理由から最優先させる要素でもないように思う。

例えば外観のシルエットの見え方から入る方もいる。
そんな方は平面的アプローチと合わせて立体的に建物をとらえている
↑篠原 一男 住宅図面図集より
上記は「住宅は芸術作品である」と残した篠原一男設計[白い家]の矩計図
丸太柱からの伸びる屋根の構成がイメージしやすい。

別の話だが先日同じ篠原一男設計の[から傘の家]がヴィトラキャンパスに移築されたそうだ。
1961年東京都練馬区に完成した[から傘の家]の出現は衝撃的だったとされている。
↑こちらは熱海にある隈研吾設計のコエダハウス
全く別物のようだが、正方形の平面中央から積み木のように積み上げられた桧材で構成される構造に方形屋根
一本の大黒柱から傘がかけられたような屋根の[白い家]や[から傘の家]に通づるものを感じるのは私だけだろうか?

いつかここまで意匠性にこだわった建物を作ってみたいと思うが 使いやすさ、維持管理のしやすさ、堅牢な構造体、設備更新の容易性、素材、質感、意匠性、そして現場の施工性とコストバランス
全て完璧にはいかない。
でもそこが建築の永遠のテーマであり面白く難しいところ。
ぜひ熱意を持ち「芸術作品」を造りあげたいと思うのだ。
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