地盤を読み解くために
2022-9-5
地盤調査では何も分からない。
正確に言えば住宅建築で一般的に行われるSWS試験だけでは情報が足りないことがほとんどである。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの比較的大規模な建築物を建設する場合は、ボーリング調査や土質試験など相当の費用をかけ地質調査が行われる。
対して一般住宅(木造)はSWS試験という比較的安価な試験方法で行われるのが一般的だ。

↑上記はSWS試験器具の一例(小規模建築物基礎設計指針より抜粋)
約30mmのスクリューポイントロッドを地盤に回し入れ貫入量と荷重から地盤の支持力を調査する。
その簡便性と経済性から、小規模建築物の地盤調査に適するとされている。
しかしロッド周面摩擦の影響やスクリューポイントの摩耗、直径30mmという範囲の狭さなどから過大評価又は過小評価されることも多い。
考察をじっくり読み進めると不確定な要素が多いためだろうか、安全側(柱状改良や表層改良を推奨する等)に見てしまうケースが少なくない。
本来ならば建物が配置される真ん中のポイントだけでも「ボーリング調査」を行い、できれば土質試験まで行いたいところだ。
ところが一般住宅の地盤調査には費用が掛かりすぎてしまうため現実的ではない。
そこでおすすめしたいのが「物理探査」だ。
↑上記は物理探査の様子
地盤に振動を加え表面波の速度を計測しその伝わり方や周波数から地盤特性が大まかにつかめる。
個人的にべた基礎が主流になった最近の住宅設計にはこの物理探査が好相性に感じている。
SWS試験は30mmのポイントで調査するため杭(ポイント)基礎には向いているが広範囲(面)で調査が不可能なためだ。
もちろんこの物理探査が万能かと言われるとそうでもないのだが、SWS試験と比較して検討する事ができればより地層を読み解く精度は増すだろう。
最終的には設計者である建築士の判断によることになるが、充実した事前調査と地盤調査の考察を踏まえ”安全な構造物”を築造できるよう万全でありたいものである。