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柱の割れと背割り

2022-10-24

「柱が割れてますが大丈夫でしょうか?」
たまにこういった話になることがある…

↑こちらはリノベ物件の小屋束。

昔は乾燥技術の選択肢が少なく、自然に割れが入るのは当たり前とされていた。
なぜならほとんどの乾燥割れは強度上問題なく、木は乾燥すれば割れるものと認識されていたからだ。
ただ乾燥技術が発達した今なら、様々な乾燥手法が研究され表面割れや内部割れを少なくすることもできる。
加えて自然素材を利用した内装が少なくなり、工場生産品を利用しての家づくりが主体の昨今
キズ一つ許されない竣工検査現場においては、この割れが悪とされてしまうようだ…
↑こちらは桧丸太材の含水率測定状況。
急に水分の話になるが、木材にとってはこの含水率が割れと密接に関係している。
木材内に含まれる水分が徐々になくなり、乾燥していくことで木材が膨張収縮し変形を引き起こすからだ。
そのため基本的に建築用構造材として使用される場合の含水率は20%以下とされている。
建てた後に構造材の変形を抑制し構造の品質を確保するためだろうか?
現在は原木を伐採後すぐに人口乾燥し水分を飛ばしたら木材の加工という流れになる。
ただ丸太に関しては人工乾燥させることが難しいらしい。
写真の桧丸太も、原木の状態で買い付け天然乾燥させたものではあるが16.5%ならほぼ乾燥したといえるだろう。
↑こちらは丸太に背割りを入れている様子
背割りをいれることで他の面に発生する可能性のある割れを最小限に抑えることができる。
人工乾燥ができない丸太材には特に有効である。
背割れをいれたから他が割れないというわけではないが、自然素材なのですべてをコントロールできるわけではない。
でもキズ一つない工業製品では出せない味わいだったり、愛着が沸いたりする自然素材。
一期一会で出会った丸太材を利用しできる「こだわりの家」に、ゾクゾクしワクワクする感じは何物にも代えがたいこの仕事の醍醐味でもある。

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