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美しい家が完成するまで

2023-5-14
築現場をまとめるのはなかなかの苦労がある。
多種にわたる職人の工程管理だけでなく、そこに施主の要望、設計者の意見等があるためだ。
三者三様に言い分があり、通常は意見が分かれてしまう。
施工について技術的な部分、コストと素材感等の対比、法律や構造的な制限に適合しているか等々…

また、建築中に想定外の出来事が起きることも珍しくない。
そんなときは次々と迫りくる工程にズレが生じる可能性があるため、スピード感のある対応が求められる。
内容の変更だけではなく、雨天による工程の遅延だったり、逆に雪が降ろうと施工しなければならない時の決断だったり…
様々な場面がある。
今回も一筋縄ではいかない現場であったが先日無事竣工をむかえた。
ただ今回の物件は施工・管理側からすれば非常に恵まれた環境だったといえる。
雨天などに悩まされはしたものの、施主・設計ともに施工側の意見に同意してくれることが多かったのだ。
経験豊富な設計者に建築知識の豊富な施主。
こだわる部分も多いが、作り手の気持ちもきちんと分かってくれているのがありがたかった。
また、施主・設計側のこう見せたい、こう使いたいという意図をくみとることができ意思疎通が容易だったこともスムーズな施工図の作成に繋がっていた。
ただ作るのではない。施主・設計側の意図を理解すればより良い建築ができるのだ。

個人的見解にはなるが、三者が言いたいことを言い合いつつお互いの立場を尊重し合える理想の建築現場であったのではないだろうか?
三者の相性もあるだろうが建築現場とは常にこうありたいものである。
話し合い「こうしましょう。ああしましょう。」と一つ一つ紡ぐように決められた空間は凛とし、ただただ美しいと思えるのだ。
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