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受け継がれる家づくり

2024-6-22
価高はいつまで続くのだろうか?
何かのニュースで見たが2024年も高止まりの様子…
思えば建設業に携わってからこのかた上がったとは聞くが、下がったは聞いたことがないような気がする。

踏ん張って来たものの、ついに当社でもそのあおりを受け、体制など変化せざるを得ない状況が続いている。
これだけ社会的大波を受けては当社のような小さな工務店は揺れざるを得ない。
無理をすればどこかに亀裂が入るからだ。

それでもおおよそ5年ほど前まではなんとか現状通りの仕事ができていた。
いや、当時を振り返るとギリギリのところで折り合いをつけていたというべきかもしれない。
血を見ても譲れないものがあった。
それが手刻みによる[受け継がれる家]を造ること。
大工技術の継承や長寿命化の構造体を造ることによって得られるCo2排出量低減など…
地域工務店としての社会的役割は勿論だが、一番は造らせていただいた後の達成感がたまらなく、その感覚は現状の体制でなければ得られないと信じていた。
↑当時建前のイメ-ジ。
100年も200年も健全な構造体を残し[受け継がれる家]を造ることが当社のポリシーである。
そのため天然乾燥木材に墨を付け、手で刻む。ことが絶対条件だ。
現在主流となっている高温の人工乾燥材ではなく、油成分が残る生きた木を適材適所に使用したい。
その躯体は呼吸しながら長期間健全な構造体の維持を可能とする。
ただし、天然乾燥材は人工乾燥材に比べ将来変形量が多くなる。
それを見越し手で刻むというわけだ。

ところが、2021年ごろのウッドショックから木材価格が高騰。
輸入材が入らない関係から国産材まで価格は約3倍へ。
ただでさえ安くはなかった天然乾燥木材も更に影響を受けた。

加えてコロナウィルスの影響からか物価の高騰や資材の納期も出ない問題。
元請け受注がほとんどの中小工務店への影響は甚大である。

前述した通り、これだけ社会に荒波を立てられては、一緒に揺れ動かなくてはどこかに無理が生じ壊れてしまう。
そう考え少しずつ社会の影響に対応してきた…
具体的に上げればざっくり2つに分けられる。
1.新築住宅建設にあたってはどこかに職人の技を活かせる住宅づくりをすること。
2.リノベーションで既存骨格を活かし[受け継がれる家造り]とすること。
いままでの大工技術と知識をフルに生かす事と、社会の荒波にうまく乗っていくために考えた結論であった。

社会の波だ…
仕方のないことだ…
創業当時から守ってきた体制を変化させることに当初は少し後ろめたいような気がしていたが、体制を変えて気が付いた。
我々の技術を必要としてくれる人は変わらずにいるということ。

必要としてくれる人がいる。
それだけでありがたい話である。
これからもふてくされず前を向いていくしかない。そう言い聞かせていた矢先だった。

2024年6月 時は5年ほど遡り、コロナウィルス感染症の影響から審査がストップしていた[第25回ふくしま建築住宅賞]にて奨励賞受賞の連絡をいただいたのだ。
驚きと共に、今までの仕事が一気に認められた気がした。
ふてくされてもしょうがないと思いながらも、社会に不満が募っていたのは事実。
独りよがりの自己満足なんだろうか…
そんな自問自答を繰り返す毎日。
たとえそれでもしょうがない。自分のやりたいことなのだと嫌な考えを断ち切ってきた。


ただし…迷いが生じるということは自信がなくなってきたということだ。
物価が上がってきた昨今では「今まで通りのやり方は通用しない」そういわれているようだった。
しかし、今回の受賞をうけ本当に励まされた。
できる事を頑張っていこうと思うことができた。
今後は大工技術を活かし、空き家・実家相続問題などの社会問題にも一石を投じれるようリノベーションにもチカラを入れていく所存だが、それも一貫し[受け継がれる家造り]である。
ストック型社会において次世代のために少しでも価値のある既存建物を残せるよう尽力していきたい。
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