5年ごとの設計事務所更新登録に伴う管理研修会で感じたこと
2024-12-9
図面通りに作る。
建築を行う上で当たり前のことである。
職人さん「ここ、どうする?」⇒監理者又は現場管理者「図面通りでお願いします。」
こんな現場でのやり取りは一見何の問題もないように思えるだろう。
大概は施工側の都合で慣れている部材を使いたいなど変更を要求してくるパターン。
この場合は希望している部材で問題なければ承認するか、予定通りの部材で図面通り進めてほしいことをお伝えするまで。
しかし、その「ここ、どうする?」には経験豊富で勘の鋭い職人さんならではのメッセージが含まれている場合がある。
わかりやすく言い換えれば、[ここは図面通りに作ると問題になるかもしれませんよ]と言ってくれているのだ。
こんなメッセージに気づくには、日ごろのコミュニケーションが欠かせないところである。
設計者も人。完璧ではないのでお互い言いたいことを言い合いながら作り上げる関係が理想的だ。
ところが昨今の建築現場の実情は合理化やコスト削減(特に人件費)を求めるあまり、言われた通りに作るだけになってしまうことが多く、それがトラブルの元になっているという。
5年ごとの設計事務所更新登録に伴う管理研修会でそんなことを興味深く聞かせていただいた。
確かに最近の現場は合理化を求めるあまり現場で余計なこと言わない職人さんが増えてきた実感はある。
一昔前の『職人さんが何も言わないから問題ないだろう』という考えはもはや通用しなくなったということだ。そもそも、言ってもらえるだけありがたかったと思うべきなのかもしれない。
…とはいえ減ってはきてるが、設計者の意図を組み取り良質な技術を提供してくれる職人さんがいるのも事実。
まずは問題のない設計をくみ上げ、きちんと職人さんに意図が伝わる実施図を描くことが前提であるが、もし「ここ、どうする?」と問われたら自分の図面にもう一度向き合い聞く耳を持ちたい。
今後そんな問題に気づけるのは現場管理者(又は監理者)であることを再認識し、図面通りで大丈夫だろうか?と今まで以上に危機感をもった管理体制が求められていることを実感した。