本文へ移動

無筋コンコリート

2025-5-7
ノベ現場は蓋を開けてみないとわからない。
特に目視確認できない箇所は予想外の結果となり、頭を悩ませることになることも多い。

例えば、基礎の中に鉄筋が入っているか否かは1981年以降の建築物なら調べるまでもなく有筋であるはず。
しかし、それ以前に建築された建物は無筋の可能性がある。

現在進行中のリノベ現場では床下を開けてみると予想以上に健全そうなコンクリート基礎が現れた。
思ったほど湿気もなく、基礎表面の風化もあまりないようだ。
当時にしては十分の厚みがありこれは当然に有筋であるはずだとすら思った…



…が、鉄筋探知機で探査してみるとまさかの反応なし。

耐震補強を改修の大義としていた当工事では、無筋コンクリートの強度を確保すべく工程の調整を行い補強工事を組み込むことになった。

国土交通省監修の補強方法として参考に基礎を抱き合わせる補強例があるが、施工期間とコスト面を考慮し断念。
代替案として補強材のアラミド繊維と液体樹脂を特殊配合した補強材を塗布する工法を選定した。
デュポン社で開発されたアラミド繊維は防弾チョッキや橋脚やトンネルなどの耐震補強にも採用されている。
実証実験の結果から十分な補強結果があることが確認され、コンクリートの補強方法として特許を取得している工法だ。

引張強度は鉄筋の7倍の強度が確保され、健全な鉄筋コンクリート基礎と同等の評価ができるようになる。
基礎抱き合わせ工法と比較し、工期やコスト面で採用しやすく無筋コンクリートの補強方法としては定石となってきている。

物価高のあおりを受け、古民家改修や空き家改修がますます増えるであろう昨今、さらに低廉良質な補強方法が開発されることを望みたい。

TOPへ戻る