構造：木造三階建て　　設計・施工：有限会社　斉藤工匠店

「カーテンウォールのような窓を看板にした建物」を造りたい。※イメージ画像を見ながら

依頼当時のこのご要望に正直頭を悩ませていた…

カーテンウォールをつけるにはその自重を支える構造躯体が必要になる。

そのため当初浮かんだのは鉄筋コンクリート造や鉄骨造…

しかしその構造には木造と比較し相当な重量がかかることや、経済性を考慮した結果断念することになる。

ただどうしても実現したかったため、住宅用サッシを木造軸組みに連続で設置すれば、カーテンウォールのようにダイナミックに光を取り込めるようになるのでは?と発想を変えてみた。

これなら柱に直にとりつけることができ構造的にも経済的にも有利である。

方立（に見せる部分）が少し太くなってしまうが逆に目新しく感じ、無骨さの残る意匠として取り込んだ。

間取り的には1階を店舗（美容室）その上階に住宅の要望。

駐車台数と動線計画、要望諸室から必然的に木造三階建てとなった本物件。

一番柱を抜きたい1階が店舗（美容室）となってしまったが、構造的に無理はできない。

そのため柱は意匠として取り込み、無理のない2間スパンでバランスのよい構造計画とした。

周辺環境に配慮し階高を抑えた結果、構造上も有利に働く。

ウッドショクの影響で予定してた梁、桁材（横架材）は松から杉へ。

許容応力度計算上2サイズ程アップした梁せい。これも発想の転換でポジティブにとらえ”表し”とし意匠に取り込む。

看板となる連続窓の上部滑り出し窓を開放すれば重力換気で自然に風が抜ける気持ちの良い空間を実現。

また安定した光が取り込める北側の連続窓以外は、サロン技術者の手元を狂わせることの無いよう小さ目の換気窓をバランスよく設置した。

意味のある構造や窓の配置などが機能的で合理的である建物を目指した本物件。

guri［集合体］と名づけられたこの建物に訪れる利用者が発想の転換によりポジティブになれるように

この建物も同じように発想の転換で構築された連続窓や木構造により形成されていること。

そんなことを知った上で、サロンスタッフや利用者の方に木造在来軸組工法の自由さと可能性を感じてもらえたら、こんなに嬉しいことはない。